RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

蜜のあわれ@T・ジョイPRINCE品川 2016年4月16日(土)

封切り三週目に突入。

席数217の【シネマ8】の入りは三割ほど。

しかし本作、官能的で妖艶なシーンがけっこうあるんだけど
「PG」や「R」を付けなくてイイの?

もっとも客層は勝手に高めに振れているから
問題ないのだろうが。


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今回あらためて確認したら
室生犀星』『萩原朔太郎』『芥川龍之介
ほぼ同時代で、
しかもかなり懇意にしてたのね。

何れもが本作の登場人物であり、
『芥川』は『高良健吾』が演じ
『朔太郎』は名前だけが「上州人」として言及される。


それにしても『室生犀星』、こんな小説を書いてたんだ。
てっきり詩作の人で、
「ふるさとは・・・・」のような詩句ばかり創っていたかと思っていたから、
『太宰』ばりの私小説を多くモノしていたとは
発見だった。


ただ本編に於いては、
たまさか買った金魚が人のカタチになり、
或いは、過去に作品を指導した女が幽霊となって現われる。

どうにも着想が楽しく、夢とも現とも区別できない世界が
繰り広げられる。

主人公が物語の中に入るのではなく、
自然と巻き込まれて行ってしまう。

そう言った意味で自分としては、
やはり同時代の『内田百間』の〔サラサーテの盤〕を底本とした
ツィゴイネルワイゼン〕との共通項を
そこはかとなく感じた。

勿論、本作の方が
笑い処は満載なのだけどね。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


判然とはしないけれど、登場人物の会話からは
舞台は戦後間もない頃のよう。

かなり多くの場所をロケハンし、
往時の雰囲気を上手く醸している。

加えて幽霊となって現れる
『ゆり子(真木よう子)』の造形は
『応挙』描くところの〔幽霊図〕そっくりで
昔ながらの表現も上手く生かしている。


そして主演の『二階堂ふみ』、「ゴチバトル」とはうって変わって
かなり大人の雰囲気を纏い、
それが〔私の男〕や〔地獄でなぜ悪い〕とは
また違った露出なのが面白い。