RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ルーム@109シネマズ二子玉川 2016年4月10日(日)

封切り二日目。

席数155の【シアター1】の入りは八割ほど。


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中年の男に誘拐された少女が
納屋を改造した小さい部屋「ルーム」に七年間幽閉される。

自分の理解では、こういったコトは、
アメリカのような国での
特徴的な病理であるとの認識だったのに、直近では
日本国内でも立て続けに同様な事件が起きているし。


世間とは途絶された世界で彼女は、やがて
自分を閉じ込めた男の子供を身ごもり出産する。

その男の子『ジャック』が五歳を迎えた日から
物語りは大きく動き出す。

二十四歳になった『ジョイ』は
息子と共に、外に逃げ出す算段をする。

それに成功するまでが前半の大きな山場。


五歳といえば、小学校就学前。
オマケに彼は、世間を知らない。

それでも『ジョイ』は果敢に前進する。

この一連のシークエンスは、
聞き分けのない幼子をコントロールしながらの
「ルーム」からのエクソダスを存分に描き
素晴しいサスペンス。

これで映画一本完結してしまうでしょ、と
感じるくらいの十分なカタルシスを得られる。


しかし、映画はそこでは終わらない。

更に重いテーマを内包する後半部が待っている。

娘が戻って来た事は嬉しいものの
犯人の血を分けた孫に対してどう接して良いのか判らない
父親の存在。

または『ジョイ』自身が、
停まっていた時間が突然に動き出したことで
変調をきたしてしまう。

しかし、それを救うのもやはり・・・・。

家族の情愛の素晴らしさを改めて思い知らされ、
胸がぎゅっと熱くなる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


アカデミー賞を獲った『ブリー・ラーソン』は勿論だけど
子役の『ジェイコブ・トレンブレイ』が素晴らしい。

これで撮影当時九歳くらいだったなんて、
そこいらの日本の若手に
爪の垢でも煎じて飲ませたいくらい。

特に、広い世界に出てからの
適応と変容の速さは、その年齢の子供らしさの表れと共に
顔つきまで変ってしまう程の天才っぷり。
達者過ぎる。