RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

マネー・ショート 華麗なる大逆転@TOHOシネマズ新宿 2016年3月12日(土)

封切り九日目。

席数499の【SCREEN9】の入りは九割ほどと盛況。


イメージ 1



観終わって劇場を後にする人達にもまれながら、
「判った?」「ううん。判らなかった」との声が
其処彼処から聞こえて来る。

金融商品の専門用語が飛び交い、
何をすれば儲かって、どうなったから損をするのか
といった基本的なことすら判然としない。

制作者サイドも、それは了解済の様で、
テロップを入れたり、
ドキュメンタリー宜しく脇役に解説させたり、
複数の主人公に画面に向かって語り掛ける等の
手法を使っているけれど、それでも十分ではない。

サブプライムローン」の不良債権化を
実際に体験したアメリカの観客に向けてすらこうなんだから、
日本に住む我々が理解できないのは当たり前。

そう開き直って、細かい仕組みはさて置いて、
主人公達の動向にだけ注意を払って鑑賞すれば
何とか楽しめはする一本に仕上がっている。


それにしても、皮相な作品だ。

シンクロニシティ的に、複数の人物が
サブプライムローン」の欺瞞に気付き
逆目を張る。

ある者は数字だけで、
またある者はフィールドで調査をし、
またある者はインサイダーに近い情報をたまたま入手し。

しかし彼等の何れもが正義ではない。

所詮はマネーゲームゼロサムの世界だから
勝者もいれば敗者もいる。

たまたま、良いタイミングで世間の趨勢とは異なる方向に賭けて、
それが功を奏しただけのハナシ。


それでも夜は明ける〕でもカッコいい科白を吐いていた『ブラッド・ピット』が
またまた良い役を割り振られ正論を吐く。

自分達が儲かるコト、イコール他の多くの人達が不幸になるコト。

しかも今回のそれは金融業界だけにとどまらず、
広く庶民にも影響するんだから。


勿論、こういった仕組みを創り上げた
杜撰な運用をした側こそ責められるべきだけど、
公的資金を投入され救済されて
七年経ったイマイマでは以前と同じように高給で遇されている。

結局、皺寄せは庶民に行き
富裕層により富が集まる。

そう言った不平等はエンディングでさらっと言及されるのみ。
ちょっとフラストレーションが溜る。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


その意味でも、日本語のタイトルは
例によってしっくり来ない。

彼等はヒーローでもないし、
社会的に正しい行いをした訳でもない。

報道機関や格付け会社にねじ込むシーンもあるけれど、
それは義憤ではなく、自身の売買が市場を反映した結果にならないことに
焦れての行為なんだから。