RollingStoneGathersNoMoss文化部

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白鯨との闘い@109シネマズ木場 2016年1月19日(火)

封切り四日目。

席数141の【シアター5】の入りは十人ほど。


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『メルビル』の〔白鯨〕にはモデルがあることは
つとに知られている。

〔白鯨〕は何度も映画化されているけど、
モデルとなった『エセックス号』の事件自体が
映画になったのは初めてじゃないだろうか。


本作を観れば、鯨の数が
何故こんなに少なくなってしまったのかがよく判る。

それ程、鯨油を採るために
乱獲されたと言うことだろう。

それでも今から二百年も前なら、
探索の技術も未熟なわけだから、
本編で描かれている様な
標準で16~18mとされている体長を
大きく超えるマッコウクジラが生き延びていても不思議ではない。


で、その鯨との闘いは、勿論
物語の主軸の一つに据えられてはいるものの、
スペクタクルな表現は、それだけにとどまらない。

嵐の中で、木の葉のように翻弄される帆船の描写や
乗組員の奮闘は、それだけで手に汗握るし。

小さな船に乗り込み鯨を追いたてる猟の一部始終も、
日本であれば勇魚取の漁師のよう、
勇猛果敢の一言に尽きる。


しかし狩られる側の鯨からは
人間の姿がどのように見えているのだろう。

ある瞬間、その立場が逆転するシーンがあるのだが、
その時の大きな眼は、どちらかと言えば
悲しそうにも見える。


中途、物語の主題が、がらりと変容したと感じる瞬間がある。
船乗り間の信義とか、心の通い合いなどだけど、
実は「白鯨」は狂言回しにしか過ぎず、
これこそが監督の描きたかったコトだと判って来る。

一方、最後まで、サスペンスとしてぐいぐい押し通す醍醐味が
欠けてしまったことは残念だけど。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


それにしても『ロン・ハワード』、
海を舞台にした作品では佳作が多い。

〔スプラッシュ〕でしょ、〔コクーン〕でしょ。
勿論、本作も、それに連なるのだけど。