RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

完全なるチェックメイト@TOHOシネマズシャンテ 2016年1月1日(金)

封切り八日目。

席数224の【CHANTER-1】の入りは満員の盛況。

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主演の『トビー・マグワイア』自身が
プロデューサーとしてクレジットされていることから、
彼にとって、ホントにやりたい役だったろうことが判る。

ボビー・フィッシャー』の存命中に、
彼の名前を借用した映画〔ボビー・フィッシャーを探して〕が制作されるくらい
特にアメリカに於いてはイコンであったハズだから。


1970年代の東西冷戦下では
アポロ計画」がそうであった様に、
あるゆるコトが国家の威信をかけたものであり、
勿論、「チェス」についても例外ではない。

日本人の目からすれば奇異に映るけど、
一種のスポーツとも位置付けられているし、
長くソ連のプレイヤーが圧倒的強さを発揮していた。


そこに風穴を開けた『フィッシャー』であるから
当然、当時の西欧の、わけてもアメリカ国民であれば快哉を叫ぶ。

本編では、その時の実際の映像を使って、興奮の様子を
リアルに描き出している。


とは言うものの、
原題が〔Pawn Sacrifice〕であることからも判るように、
政府首脳にとっては、何れもが使い捨ての手駒に過ぎず、
国威発揚には手軽で最適、程度のコトだったのかもしれない。

本作でも、そういった側面は描かれるものの
あくまでも影にしか過ぎず。

実のところ、どれほどのものだっただろうか。


主人公が次第に精神に変調をきたす過程で描かれる妄想だが、
ロシアのチェスプレイヤー『スパスキー』には
身を持って体験していることであり、
しかし、それを至極当然のことと捉えている。

有りもしないことに怯える側と、
本当に有っても、それが日常として麻痺している側の
対比の描写が、皮相に見え、面白い。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


現実の『ボビー・フィッシャー』の写真を見ると
印象的なのは、やはり、その目ヂカラ。

此処での『トビー・マグワイア』も
アップになるシーンは特にであるけれど、
その目の演技が素晴らしい。