RollingStoneGathersNoMoss文化部

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「日産アートアワード2015」ファイナリスト7名による新作展@BankART1929 2015年12月26日(土)

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残念ながら会期は27日(日)が最終日。

その為だろうか、館内にはそこそこの来場者。

両親が幼い子供を連れて来ているケースがままあり、
加えて、子供が楽しんでいる様子も伝わって来て、
なんだかココロがほっとする。


で、ファイナリストなんだが、
『岩崎貴宏、久門剛史、毛利悠子、秋山さやか、石田尚志、
米田知子、ミヤギフトシ』の七人。

知った名前がかなりある。

自分の悪いクセで、事前の情報収集をしていないので
会の主旨はよく判らんのだが、
新人発掘と言った感じでは、あまりないなぁ。
中堅どころの顕彰だろうか。


一つ一つを順に観て行く。

『岩崎貴宏』の作品が更に凄いコトになっている。
〔アウト・オブ・ディスオーダー(70年草木は生えなかったか?)〕
と題された作品の素材は、どう見ても髪の毛。
それでミニチュアの鉄塔を造形している。
タイトルも戦後70年及び広島の原爆投下を題材にしているのは明らか。
イムリーとも言える。

歴史を題にしていると言えば、『米田知子』の作品もそう。
壁の前にエノコログサが生えている、何気ない景色。
しかし主役は植物では無く、壁に開いた穴の方。
こんなキャプションが付いていたらどうだろう
「日本統治時代の氷蔵の壁に砲弾痕」。
ちょっと見ただけでは気付かなかった暗喩が立ち上がって来る。

一方で『秋山さやか』の作品は、
地図上への刺繍と言う基本技法は変わらないものの
それはルートの記録だけにとどまり、
場所の記憶が盛り込まれていないようにも見えるのが
やや拍子抜け。

また、『毛利悠子』の作品は、その仕掛けの外観に加え、かそけき音を、
『久門剛史』の作品は光と風と音を室内に居て感じられる。
前者は子供が喜んで魅入っていたし、
後者は、そこには居ないハズのヒトの気配さえ感じられ、
思わずカーテンの後ろを覗き込んじゃったし。


展覧会の本質とはやや外れるけど、
受付のおねえさんの物腰が随分と良くて
入場する時から気分がアガル。

実はこういったコトも大事な要素だったりするんだよね。