RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

杉原千畝 スギハラチウネ@TOHOシネマズ新宿 2015年12月14日(月)

封切り十日目。

席数117の【SCREEN6】の入りは九割ほどと盛況。


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「日本のシンドラー」などという
恥ずべき呼称がある。
営利目的の為のユダヤ人保護者と同列にして欲しくないと思う。

杉原千畝』は無私で無欲なのだから、
屹立して在るべき。


ではあるが一方で、熱烈な愛国者である側面も描かれる。
彼だって、基本は日本に勝って欲しかったのだから。

しかし、『杉原』が得た有用な情報を、
本国ではキチンと活用することができない。

そこに往時の閉塞感を我々は見る。

実際、同盟国とはいっても、
ドイツはソ連への侵攻を、
日本は真珠湾攻撃を、事前に互いに予告してないんだからな。


彼の功績についての、大まかな知識はあったものの
本編を観て人となりも十分に理解できた。

要は行動力も人望もある能吏。

単に多くの命を救ったに留まらず、
国家に対しても多大な貢献をしたわけだ。


しかし、それらの全てを、外国人の監督は淡々と描く。
クライマックスのビザを発行するシーンでも
そのスタンスは変わらない。

意図的に声高に描写しないことで
却って、その場面の印象を、より強くすることに成功している。


勿論、多くの人命を救い得たのは、
『杉原』独りのチカラならず、周囲の有意な行為があってこそなのだが
そこいら辺も、本作は抜かりなくフォローしているのには好感が持てる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


先に「往時の閉塞感」と書いたが、
それは戦後でも同様なことが冒頭描かれる。

海外で先に評価され、その後漸く再発見され名誉回復される。

日本らしいと言えばそれまでだが、
なんて情けないハナシだろうか。