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馬琴と月岑展@日比谷図書文化館 2015年11月15日(日)

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本展の見所は、その豊富な実物。


『月岑』は兎も角、『馬琴』については、
子供の頃に読んだ〔南総里見八犬伝〕は勿論、
NHKで放送された人形劇〔新八犬伝〕で我々の世代にはお馴染み。

が、その実物の「読本」を見たコトのある人間がどれほど居るか。

本展では、それがうず高く積まれており、
幾つかについては美麗な版画の挿絵共々、
中が見られる展示。

百冊を超えると言う大著は大層な物量もそうだが、
和綴じの表紙の装丁からして凝っている。

今の子供達がコミックの新刊を待ちわびるように、
昔の人は次作の刊行を首を長くして楽しみにしていたのだろう。


或いは筆まめな『馬琴』がつけていたと言う
日記の実物。

その整った細かい筆跡からは
几帳面さがふんぷんと漂って来る。

晩年には失明したとされるが、
今で言うところのライフログ
きちっと残していた本人にとって
その無念さはいかほどのものだったか。


ってなことが、歩を進めるに連れ、
胸の中に去来する。

日記から判る、『馬琴』が実際に出掛けた場所も
パネル化してあり、見るだけでも感心してしまう。

神田明神下から目黒不動辺りまで足を伸ばしている
江戸時代の人の行動範囲の広さにも
恐れ入ってしまう。