封切り五日目。
席数284の【CINE 5】の入りは八割ほど。
「PG12」の設定故か、その重ための内容故か
客層はかなり高齢に振れている。
「PG12」の設定故か、その重ための内容故か
客層はかなり高齢に振れている。
夜更けのベルリンの街を、
幼い二人の兄弟が母を探して彷徨う。
幼い二人の兄弟が母を探して彷徨う。
兄の名前は『ジャック』。
本編の主人公であり、且つ本作の原題でもある。
本編の主人公であり、且つ本作の原題でもある。
日頃からネグレクト気味の母親の代わりに
四つ年下の弟の面倒を何くれと看るだけでなく
簡単な家事までこなす。
まさに、家貧しくして孝子出ず、を
地で行っている。
四つ年下の弟の面倒を何くれと看るだけでなく
簡単な家事までこなす。
まさに、家貧しくして孝子出ず、を
地で行っている。
しかし、彼とて僅か十歳の子供。
母親を恋しく思い、預けられていた施設から逃げ出し、
弟を連れ行方の知れない母親を尋ねて回る。
母親を恋しく思い、預けられていた施設から逃げ出し、
弟を連れ行方の知れない母親を尋ねて回る。
ここで、自分達だけで生きて行かなくはならない子供の論理と、
大人の社会規範が衝突する。
大人の社会規範が衝突する。
そりゃそうだ、不法侵入やら無賃乗車やら
窃盗に万引きと、殆どの軽犯罪に手を染めている。
窃盗に万引きと、殆どの軽犯罪に手を染めている。
しかし作者の側は、是とも否とも、ましてや
ヒロイックにも描かず、冷めた目で見つめるだけ。
ヒロイックにも描かず、冷めた目で見つめるだけ。
そのスタンスは母親を描く視線にも共通している。
何時までも夢見る少女のように、
その内に白馬の王子様と巡りあえることを本気で信じている。
その内に白馬の王子様と巡りあえることを本気で信じている。
先ずは自分の享楽があり、子供達のコトは猫っ可愛がりはするものの
それが本当の愛情なのかは心許ない。
単に肌の温もりを求めているだけのようにも見える。
それが本当の愛情なのかは心許ない。
単に肌の温もりを求めているだけのようにも見える。
しかし、彼女の言動をもまた、否定も肯定もするわけではない。
このような人間も世の中には居るのだ、程度の
透徹した眼差しだ。
このような人間も世の中には居るのだ、程度の
透徹した眼差しだ。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
最後に『ジャック』は
自身の少年時代に決別を告げる
ある選択をする。
自身の少年時代に決別を告げる
ある選択をする。
それは僅か三日間の内に起こってしまい、
再び元には戻れない
自らの感情の変化による。
再び元には戻れない
自らの感情の変化による。
本来なら緩やかに推移してしかるべきなのに
殆ど強制的に近い変動は
観客の心にも深い爪痕を残してしまう。
殆ど強制的に近い変動は
観客の心にも深い爪痕を残してしまう。
何故なら、どちらに転んでも
『ジャック』にとっては心地良い結果をもたらさないことが
事前にちゃんと提示されているんだから。
『ジャック』にとっては心地良い結果をもたらさないことが
事前にちゃんと提示されているんだから。