RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

天空の蜂@109シネマズ川崎 2019年9月19日(土)

封切り八日目。
席数121の【シアター3】の入りは満員の盛況。


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原作は『東野圭吾』の小説。
しかも発表されたのが1995年。

もし設定や科白を映画化にあたり
それ程変えてないのだとすれば、
作者のあまりの慧眼に恐れ入ってしまう。

多くの日本人が「3.11」で体験した
不合理のあれこれが、ここでは既に表出しているんだから。


そう言った意味で、映画化のタイミングとしては
すこぶるタイムリー。

五年前であれば、あまりにも荒唐無稽
「なにいっちゃってるのよ」だったろうし、
三年前であれば生々し過ぎただろうし、
まさに多くの原発が再稼働に向けて動き始めている今でこそ
絶妙の時宜を得たと言える。


設定もそこそこ緻密。
犯人探しを含め
複数のサスペンスが同時並行し、
一瞬の気を抜く間も無く、
畳掛ける様に物語は展開する。

ではあるものの、約140分の尺では
ストーリーテリングに不満があるし、
いただけないシーンも幾つかある。

後者であれば、顕著なのは夫婦の相克の場面か。
取って付けたようなわざとらしさが紛々とし
どうにもいただけない

前者は、此処に登場する警察関係者は
皆が皆揃って、勘が良過ぎ。

これだけ有能な人物が揃っていれば
解決できない事件なんてなくなるでしょ。


絶対的な悪の存在を肯定しない作者の語り口だけど
それが、技術を信奉し働いているもの、
或いは職人として働いているもの、
所謂末端の存在者は非が薄いように取れてしまい、
その通りなんだろうけど
ややの消化不良さは禁じ得ない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


最後の挿話は正直蛇足かと。
今更言われなくても、観客の側は
余韻を持って十分に思い知らされているハズだから。

ましてや原発に盛り込まれている二重三重の防御や
耐性シュミレーションが如何に手前味噌であったかなんて
身に染みるほど。