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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

春信一番!写楽二番!@三井記念美術館 2015年7月25日(土)

一般の入場料は1,300円だが
「東京駅周辺美術館共通券 2015年版」を利用。

フィラデルフィア美術館浮世絵名品展」なる魅力的な副題が付き
会期は~8月16日(日)まで。


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特定の作家に収斂した企画でもないし、
(多分)メディアにも取り上げられてないみたいだし、
たいして客は入ってないんじゃ、との事前予想は、
ある意味裏切られる。

入場のタイミング次第のようだけど、
展示ケースの前を静々と進む人の列。

あちゃ~~って感じかな。


入場して直ぐの展示スペース1~3は
浮世絵とは関係なく、同館お得意の小物類。

中では大正~昭和期の作ではあるけれど
『安藤緑山』の〔染象牙果菜置物〕、素晴しい。

なんて技巧だろう、
茄子・柿・橙、何れもが素材の質感を微塵も感じさせず、
色合いといい見た目といい、ホンモノと見紛うばかり。

この染色の技術がなまじ秘伝であったため、
作者の逝去と共に失われてしまったのは残念でならない。


で、肝心の浮世絵。
定石通り墨・漆・紅から始まって
錦絵へ、そして爛熟して行く様子を
丁寧に辿っている。

ある意味、判り易い構図。

しかしタイトルにある『春信』こそ
たっぷり並んでいるものの、
肝心の『写楽』は僅か六点
(前・後期で展示替えがあるので、総数は十二点だけど)。
これにはちょっと拍子抜け。

確かに、あまり状態も良くなさそうなので、
大事に扱いたいのは判るんだけど、
あんまりななさりようではないか。

逆に『歌麿』『広重』『北斎』といった
ウケの良い作家の作品はもっと多く並び、
歴史自体を総覧できる、教科書的内容になっている。


まぁ、数多あるコレクションの中から、
出して欲しいもの・出せるものの鬩ぎ合いの中で、
最終的に決まった展示品をベースに
入場者数を最大限にするための各種工夫の一端なのだから、
創意なんだねぇ、おそらくは。