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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

チャイルド44 森に消えた子供たち@TOHOシネマズ 川崎 2015年7月11日(土)

封切り二週目に突入。

席数76の【PREMIER】の入りは満員の盛況。

「PG12」なんだけど、客層は
カップルが結構多いなぁ。


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冒頭、ある印象的な一節が提示される。曰く
「楽園には殺人者は存在しない」。

当たり前のコトじゃないかと思いつつ、
なんとなくの違和感は拭えない。

ストーリーが進むにつれ、その言葉の重要性が明らかになって行く。

なんとなれば、本作の舞台は『スターリン』体制化の旧ソ連

要は、楽園であるソ連には、殺人者は居るわけがない
との意だったのだ。

なので殺人と思わしき事件が起きても、
無かったコトにされ闇に葬られるか、
適当な犯人をでっち上げ処理してしまう。

結果、シリアルキラーによる連続殺人は野放しとなり、
タイトルのように44人の子供達が、
同じように殺されていく。


重厚な造りだ。

凡百の映画であれば、原作の中途から始めて
過去はカットバックで表現し、時間を二時間以内に納めてしまうだろう。

しかし、監督はそのようにしなかった。

主人公である『レオ(トム・ハーディ)』が孤児であることから説き起こし
第二次大戦で英雄となり、MGBに入局、謂われない嫌疑を掛けられ
地方に左遷するまでのコトの次第を、
時系列に沿って丁寧に描写する。

それが、物語の終盤の各種のエピソードの収斂に効いて来る。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


ミステリーの体裁をとりながらも、独裁下での人々の暮らしの
光と影(あ、この場合は闇と影、かも)を余す所なく表現し、
得難い秀作となった。

そして、この終わり方は、続編への繋ぎの含みも
十分に残している。