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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

悪党に粛清を@チネチッタ川崎 2015年7月11日(土)

封切り二週目だが、一週間後には終映が決まっている。

席数107の【CINE 1】の入りは二割程度。

この手の映画の常として、
客性には高齢の男性多し。


イメージ 1



例えば黒人のガンマンを登場させた
〔シルバラード〕のように、
従来の西部劇の骨法を、ちょっと破ってみせる映画は多いけど、
本作は相当の部分で大きく枠を逸らしており、
それが得難い魅力になっている。

風来坊の様にやって来て、
義憤や恋仲から街の窮地を救う、なんてことは
ありがちだけど、
そんなコトは欠片も無い、
激しい復讐の連鎖が描かれる。


始まってからものの十分ほどで暗~い気分になってしまう。
それはこの後の流れを象徴するような出来事。
登場人物への感情移入を許さないようように、
主だった人達は次から次へ殺されて行く。

うわ~なんじゃこりゃ~、と思うほどに
ただ報復だけが
互いに際限なく繰り返される。


舞台となる街に正義はなく、善人に見えても実はそうでなく、
一人一人は皆エゴイストで、主人公ですら例外ではない。
それは最後の最後に保安官が吐く科白に象徴される。


が、生き残ったモノ達は、誰もがそんなことの為に
殺し合いをしたのではないのだ。

ただ、自分の復讐心に突き動かされただけの結果で、
それが今までの西部劇への(リスペクトをしながらも)
強烈なアンチテーゼになっている。

イマの時代だからこそ創られた、
衣裳は1870年代でも、あまりにも現代的な一本。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


こんな良質の作品が、たった三週間で終映になってしまうんて
ホントに勿体ない。

しかし、それもこれも、本作が持つ独特の雰囲気が
そうさせてしまうのかも。

なまじ、その点こそが魅力であるわけだから、
世の中、上手く行かないなぁ。