RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

海街diary@109シネマズ木場 2015年6月19日(金)

封切り七日目。
席数331と大き目の【シアター3】の入りは二割ほど。


イメージ 1


時に冗長と思われる部分もあるけど、
二時間強の尺を使い、鎌倉に住む四人の姉妹
(と、言っても、末娘は、俗に言うところの
腹違い)の一年が、ゆったりと語られる。


本作のテーマも
ここ暫く『是枝』監督が好んで取り上げる題材の
家族。

ではここでの「家族」の定義ってどんなものだろう。


長女を演じる『綾瀬はるか』は、彼女お得意の天然さを極力排した
締った顔つき。
如何にも、家長としての責務を果たして行こうとの決意と
毅然として態度も印象的。

次女の『長澤まさみ』は一転して奔放な役どころ。
酒が大好きで昼間から呑むことも辞さず、
しょっちゅう男で失敗をしている。
モテキ〕以来のちょっとどきっとさせるシーンも有り、
これからの方向性が楽しみだったりもする。

三女の『夏帆』はややのほほんとしているようにも見えるが、
実は要領良く、適度に周囲にも気遣いできる
オトクな役回り。

で、この三人までは、実はステレオタイプな性格付け。
実際の周囲の三兄弟・三姉妹を見ていると、
こんな感じになっているケース、多い。

ここに引き取られて来るのが四女の『広瀬すず』。
ある部分は長女に、またある分は次女に・・・・、と
少しづつ皆に似ている彼女が触媒になって
一家に小さなさざ波が立つ。


しかし、それは大嵐を伴うものではないし、
元々一家に内在した三人夫々が抱えていた
外的・内的な問題が顕在化しただけで、
それは美しいカタチへの収束に向かう。

観客の側は、心に刺さっていた小さな棘が
ぽろりと取れたような、安堵にもにたカタルシスを味わう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


どうやらここでの「家族」は
四人が住まう古びた家こそが
その象徴であるらしい。

仏壇への花を、初夏の梅で恒例となった梅酒造りをと、
行事に伴う、各種の恵みをもたらして呉れ、
そして皆が何時でも安心して戻れる場である
鎹としての機能さえ持ち合わせている。

そんな場を持っている彼女等を、
ちょっと羨ましく感じてしまった。