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近代日本の社会と絵画 戦争の表象@板橋区立美術館 2015年4月12日(日)

会期は~6月7日(日)までで、本日が二日目。
それが為か、場内は相応の来場者数。

ただその殆どが高齢の夫婦連れと
かなりの偏り。

タイトルに魅かれて
と、みるべきかな。


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近代の日本の絵画史を
戦争と結び付けての展示は
同館の得意な内容でもある。

なので、まずはざっと見まわした時に、
既見の作品も多い訳だが、
今回のような文脈で並べられるとまた違った感慨を持つことになる。

特に本展では「作家と戦争」と題して、
当該作家が戦前~戦中~戦後を通じて
どのようなスタンスであったかの詳細なキャプションが
添えられており、それを仔細に読めば、
作品へ向かう態度もまた変ってこようかと言うもの。

特に「応召され戦死」とか
「空襲に遭い死去」などと書かれているのを見れば、
あたら若い命と才能を、
なんて勿体ないコトだろう。


中には
『新海覚雄』の〔貯蓄報国〕のような1943年の
時局らしい作品があるかと思えば、
一方で『浜松小源太』の〔世紀の系図〕のように
1938年という制作年を勘案しても
画中に切り裂かれた日本国旗とハーケンクロイツの旗を描くことが
どんなにキケンであったかなんて、
ちょっと考えれば容易に想像がつくだろう。

または
『山本日子士良』が〔一機還へらず〕で描いたように
1941年は真珠湾攻撃で高揚し、戦勝気分が漂っていても
この様な陰鬱なテーマや描写があったことに驚かされ、
『佐田勝』の〔廃砲A〕が〔戦利品A〕と改題することで
漸く出展を許された1939年の時節を思ううにつけ、
こんな馬鹿らしい統制は再びあってはいかんだろうとの思いを
大多数の人はあらたにするのではないだろうか。


そしてこれは嬉しい余禄だろう、
高山良策』の作品が三点。
そう、あの〔ウルトラQ〕で『ガラモン』や『カネゴン』の造形をした、
あの『高山良策』。

元々は画家であったことは認識していたけど、
へぇ、こんな絵を画いていたんだねぇ。

かなりシュールな作品であり、
ちょっと吃驚だ。