RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

幕が上がる@TOHOシネマズ 渋谷 2015年3月14日(土)

封切り三週目。

席数115の【SCREEN4】の入りは九割ほどで盛況。

母娘やファンらしい男子連れ・女子連れと
客層は多様だが、高齢者の姿はあまり見かけない。


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これは、ある意味
不幸な作品だと思った。

世情では、「ももクロ映画」という
ざっくりした括りにされ、色々とかまびすしい。

で、予め断っておくが自分は
所謂「モノノフ」ではない。

例えば本作では、主演の五人が元々持っているイメージカラーが
さりげなく使われているんだと聞かされても、
最初から顔と名前すら一致してないんだから、なんのこちゃら、
である。

なので、かなりフラットに観ることができた感想は、
「かなりの傑作だ」。

評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。


彼女達の演技力も、言われているほど酷くない。
いや、寧ろ、そこいら辺のアイドルから女優に転身し、
数年経った人達よりも、はっきりと上だと言い切れる。

勿論、バリバリ舞台出の
黒木華』と比べちゃいけない。

彼女の存在が、画面を相当引き締めている
その功や大だとしても。


勿論、不満がないわけではない。

原作は『平田オリザ』の小説で、本人も特殊なカタチで
カメオ出演しているが、時として演劇らしい科白廻しや間が
ぽつりぽつりと顔を出す。

それは特に二人きりの会話の時に顕著。

まぁ舞台では、観客は、笑ってやろう笑ってやろうと
待ち構えているし、作者や演出家の癖も判っているからね。

一方、映画では、より広範な来場者を対象にしているから
受容性の共通項も狭すぎるので、さらっとスルーされることがままあり、
本編でも幾つかのシーンで、それは見られた。


近しい様で、意外と乖離しているのが映画と演劇で、
それは『三谷幸喜』の諸作を見れば明らか。
傑作は殆ど無いし。

例えば、あれだけ賞を取っているいる〔笑の大学〕にしても
映画化された作品はくすりとも笑えない
作成意図さえ不明の凡作に成り下がっている。

他の人の直近の例では〔ジ、エクストリーム、スキヤキ〕が
挙げられるだろうか。


その辺の事情を勘案しても、今回の『本広克行』は素晴らしい。
ここ数年の作品では一番で、きちっと映画的な物語と
映像の広がる世界を構築している。
青春モノとカテゴライズしても出色の出来。

幾つものシーンで、「あ、これは上手いな」と
唸ってしまった。


が一番の功績は、その世界観の設定だろう。
演劇への、とりわけ高校演劇への作者の熱いリスペクトが
笑いと涙と感動を持って押し寄せて来る。


それにしても、「あれぇ、確か彼女等は五人組だよね」と疑問に思うほど
その中の三人にだけスポットがあてられオハナシが進行するのには驚いた。
ただ最終的には、ちゃんと全員揃ってのエンディングになるんだねぇ。