RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

娚の一生@109シネマズ川崎 2015年2月15日(日)

封切り二日目。

席数175の【シアター4】入りは四割程度と
ちょっと寂しい。

客層は中高年のオジサンが単身で来ているケースが
圧倒的に多く(あ、自分もそうだ)、
皆、劇場を出る時には
『トヨエツ』になりたい願望があるんだろうか。


イメージ 1


「女」を演じるのは、直近で進境著しい『榮倉奈々』。
彼女の長身を生かしたシーンも多く、舞台も地元であることから
ぴったりと役柄に嵌まっている。

「男」を演じるのは『豊川悦司』。
更に身長が高く、年齢的にも等身大。
オマケに白いシャツが常に黒いパンツにインしている装いは
フエロモン振りまきまくりで、
コウイッタオヂサンニワタシモナリタイ
と、鑑賞者は誰もが思うだろう。


「女」は都会での不倫の恋に疲れ、田舎の祖母の懐で安らぎを覚える。
しかし、その祖母が突然に亡くなってしまう。

「男」はその祖母と、嘗て関わりがあったことが冒頭提示される。
それもかなりのっぴきならない関係で
そのことが五十を過ぎても(モテまくりなのにも係わらず)
恋愛に臆病になっている背景であることも提示される。


そんな二入が祖母の暮らしていた家で出会う。
「男」はずかずかと「女」の領域に土足で踏み込み、
自分勝手な仕切りを次々と繰り出して行く。

最初は反発した「女」ではあるが次第に「男」のペースに巻き込まれて行く。


当初は、強烈なエピソードがあるわけでもなく、
季節が知らずに移り変わって行く様に穏やかに、二人の関係性も変化していく。

中途、思わずくすりと笑ってしまうギャグをはさみながらの描写は、
観る側の気持ちをも暖かくさせる。

原作コミックからの引用も多いのだろうが、
脚本の組み立てがこなれている。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。


画面の中の緩やかな時間の流れに身を委ねているのが
何とも心地良い、珍しい作品。

時にやきもきしながらも、見る側をも焦らす
一つの手法なのだろうなと感心する。

このテンポを受け入れることができさえすれば、
もう本作の虜になったも同然。
久々に(ディテールを確認するために)、最初から見返したいと思った。

特に「女」が僅かずつ変容して行く表現が
どのようになっていたのか。

当初はぼ~っと観ていたので、完全に見逃してしまっている。
返す返すも残念な(自分の)鑑賞態度だった。