RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

マエストロ!@TOHOシネマズ錦糸町 2015年2月14日(土)

封切り二週目。

席数159の【SCREEN3】入りは五割ほど。
客層は中高年の男女連れが多い。


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一旦解散させられた楽団が再招集される、
または引退した演奏家が再結集するモチーフは
漫画としては斬新かもしれないけど
映画の分野ではかなり手垢の付いた、古くからの題材。
しかも名作も多いし。

中途交わされる、指揮者との対立や
団員同士の諍い~それも、私怨であったり、「音」についての
主義・主張であったりとさまざま~もお約束のネタで、
要は、何故再び結集させる必要があったのか、がキモ。

そこがズレているとぐだぐだな作品になってしまうわけだが、
本作はかなり説得力のある筋立てになっている。


解散した『中央交響楽団』の団員で、
まだ就職の決まっていない演奏家達の元へ
再招集の呼び出しがかかる。

しかし、練習場として指定されたのは古びた廃工場。

しかも、指揮者として現れた『天道徹三郎(西田敏行)』は風采の上がらない初老の親爺で、
加えて破天荒な指導をする。

嘗てのコンマス『香坂真一(松坂桃李)』を始め多くは反発を強めて行くのだが、
次第に『天道』の過去と、何故彼が今回のプロジェクトを立ち上げたのかが明らかになる。

が指揮者と団員達の溝は次第に深まり、このままでは
出直しのコンサートの開催すら危ぶまれる状態に陥る。


勘違いしない方が良いと思うのだが、
本作の主役は「音楽」ではなく「人間関係」。
「音楽」で感動したいのなら、それ専用のDVDを見る方が余程良い。

なので、コンサート場面のカット回しで、
主要構成員の過去であるとか、争いの寛解に到る過程が想起できなければ
全くだめだめ。

本編はやや冗長な部分もあるけれど、比較的手際良く纏まっており感心する。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。


あくまでもオハナシなので、練習風景の描写や個々人の背景の描き込みは
相当にデフォルメされていると感じられ、若干の嘘くささが漂う。

また、指揮者『天道』の超人的な造形と
あくまでも良いヒトである性格付けはやや鼻に付く。

特に主人公であるコンマス『香坂』の技量と対比した時に、
ちょっとやり過ぎの感がないでもない。

でも、そこが本作の焦点なんだから、弱い描写になると辛しい、
ホント脚本って難しい。