RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

アゲイン 28年目の甲子園@109シネマズ木場 2015年1月19日(月)

封切り三日目。

席数126の【シアター8】の入りは十名ちょっと。

客層は高年が多く男女比は9:1程度。
何れも単身での来場で、
本編は彼等・彼女等(おっと、自分も同類だ)が、
感涙に咽ぶ仕掛けが横溢している。


イメージ 1


野球というスポーツは映画表現とは極めて相性が良いようだ。
古い作品では論を待たないし、
直近では『クリント・イーストウッド』の〔人生の特等席〕などの、やはり
娘との和解をテーマにした秀作もある。

勿論、他のスポーツでも〔ロンゲスト・ヤード〕や〔スラップ・ショット〕等の
素晴らしい一本はあるけれど、男臭さがむんむんとし、
とても爽やかな風が吹いてくる
どころのハナシではない。

ある愛の詩〕でもアイスホッケーは盛り込まれてはいるけれど、
これは男性の側がエスタブリッシュメントであることを端的に表現するための
方便だろう。


当然、和解や心が通い合うためには、それなりの仕掛けが必要だが、
野球に於いては「キャッチボール」という最大の武器がある。

かなり簡便にできてしまう動作だから、幼い頃に親と体験した経験は
殆どの人であるのでは。

本作ではこの「キャッチボール」がかなり有効に使われ、
それも息子ではなく娘とのそれである。

諍いも和解も全て、この動作を通して行われ、
度毎に観客のお父さんたちは涙をふりしぼる。


ましてや、「娘」を演じる『波瑠』が妙に良い。

ほぼ等身大の世代の女子を、演技的にはまだまだだが、
子供と大人の丁度中間のような雰囲気を振り撒き、
世のお父さん達であれば、こんな娘が欲しいと思わせる
絶妙のでき。

なので、もう一人の主人公『坂町晴彦』と淡い気持ちが通じ合うシーンでは
役柄とはいえ『中井貴一』が羨ましくなっちゃうもん。


実際に起きた事件の真相とか、地区予選を勝ち進む筋立てについては、
丸っきりの予定調和、たいして見るべきものはなく
これはあくまでも添え物。
本筋は家族としての寛解にあるわけだから。


またカメラも面白い。
意図してのコトだろうがドキュメンタリー風に、
時にぶれたりしながら、最初はかなりアップを多用する。

これが主人公二人の最初の緊張感、
しかし、後での交情への変化の布石となり、印象的。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。


それにしても「マスターズ甲子園」、こんな催しモノがあることすら知らなかったし、
複雑なルール設定がされているとは思いもしなかった。

成る程、戦力が偏らずにフラットになり、
全員野球でチカラを発揮したチームが勝つための方策だろう。
とは言うものの、昔からの強豪校が出場機会が多くなるのは
いかんともしがたいんじゃないか。
なんてったって選手層の厚さが違うもの。