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ジャッジ 裁かれる判事@チネチッタ川崎 2015年1月17日(土)

封切り初日。

席数407の【CINE 11】の入りは七割程度。


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ロバート・デュヴァル』と言えば〔地獄の黙示録〕での
『ビル・キルゴア中佐』が印象的。

ワルキューレ〕を大音量で流しながら
ヘリから爆撃をする部隊の司令官。

それがこんなに老いた役を演じるようになったんだから
自分も歳を取るわけだ。


それしても、アメリカの裁判制度って、ホントに判り難い。

陪審員制度とか司法取引とか。

前者は繰り返し映画で描かれたことと、日本でも裁判員制度ができて
馴染みになったけど。

で、本作、他の作品に比べると、そのあたりは判り易くなっていて、
それ故、物語の世界にかなりすんなりと入って行ける。


シカゴで活躍している弁護士『ヘンリー(ロバート・ダウニー・Jr)』が
母親の葬儀のために帰郷したインディアナポリスの片田舎で
殺人の嫌疑を掛けられた判事の父親『ジョセフ・パルマー(ロバート・デュヴァル)』の
弁護に当たるというのが、大まかなストーリー。

地方の判事であれば、一種の名士ながら、多くの住人が生まれてから死ぬまで
その土地に居続ける彼の国の環境であれば、色々な軋轢を生み、
評価するヒトも憎むヒトも出て来るであろうコトがミソの一つ。


あるいは、手練手管を用いて裁判に連戦連勝の『ヘンリー』が
この裁判を通じて、その正しい在り方に気づいて行くのは
サイドストーリー。

なので陪審員の選任時のシーンはかなり笑えるし、
裁判を開く場所や判断をするヒトさえ選ぶことができる慣習って
なんかおかしくないか?と観客の側に思わせもする。


『ジョセフ』を謹厳な性格の持ち主として描くことで、
もしかしたら正義の鉄槌を下す為に、殺人を犯してしまうかも
と思わせる描写も、もう一つのミソ。

彼はホントにヤっているのかもしれないとの疑念が拭えない仕掛けも
張り巡らされている。


ではあるものの、本作の主題は親子や家族の関係性にあって、
裁判の過程を通じて、ある種の寛解がもたらされる訳だが、
これは一般的な親の子どもへの教育や躾の側面を考えれば非常に理解できる。

立場が違えば、受け取り方も違い、
互いの気持ちを面と向かって吐露する機会なんて
そうは無いと言うオハナシ。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。


これは主演二人の演技に対するものであって、
ストーリーが物凄く良く出来ているかと言えば
それはまた別問題。

ただ『ロバート・ダウニー・Jr』と『ロバート・デュヴァル』の感情のぶつけ合いのシーンだけでも
十分に観る価値はある。