RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

Winny@TOHOシネマズ川崎 2023年3月11日(土)

封切り二日目。

席数150の【SCREEN4】の入りは九割ほどと盛況。

 

 

今となっては死人に口なし、
金子勇』が「Winny」を開発した時に
どのような思いであったのかは
しかとは判らない。

が、今回の映画版では
少なくとも悪意は無かった
との前提に立っているよう。

もっとも、そうした旗色を鮮明にしないと
ストーリーは創り辛いのだな、とも思う。


コンテンツを作る側は
違法動画のアップロードと日々闘っている。

承認欲求が満たされ、
オマケに報酬が得られる行為は
一つBANしても、
直ぐに異なるアカウントで復活する鼬ごっこ

それでも、野放しにするわけにはいかず、
サイトをクロールしピックアップ、
弁護士からの要請で処理。

削除対応の速度はサイトによって様々も、
概ね以前よりもスピード感は上がっているとも。


とは言え、動画サイトそのものを悪としているわけでは勿論なく。

いみじくも本作でも語られているように、
道具は使い方によって善にも悪にも染まる。

あくまでも相対する側の人間性が現れるとの理解。


本作での『金子勇東出昌大)』は
無垢というよりも世間常識がかなり欠落している人間との描写。

実際の当人の人となりは知る由もないが、
周囲にサポートする人間は存在しなかったのかと悲しくもあり。

海外でのそうした天才には
多くが伯楽の存在があり、
上手くサポートしている印象なのだが。

事件を通して知り合った弁護士が、
それに近い存在になるのは何とも皮肉。


主人公の描き方の偏りに加え、
法廷での幾つものシーンにも迫力が感じられぬのも不満。

また、最後まで警察が起訴した理由が明確に提示されぬことも
消化不良の要因。


中途挿入される「愛媛県警の裏金事件」も実際に有ったこと。

警察の暗部と、一方で中には正義の人も存在することの対比の妙はありつつ
Winny」の功罪と併せて語るのはズレている気もする。


官の側は、先進の技術開発を可能な限りサポートすべきであり、
この国にありがちな、率先して枠を嵌めてしまう行為への反意は激しく頷ける。

もっとも、本作では先にも挙げた多くの要素を盛り込んだため、
ややピントがぼやけてしまった印象を受けるのだが。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


警察と検察の阿吽の呼吸で
宥めすかし、知識が無さそうなの良いことに
騙すのに近い手法で誘導、罪を膨らませるやり口は
〔99.9〕や〔イチケイのカラス〕等のドラマを生む下地として
日本的なあるあると義憤も感じる。

自分が同じ立場になったら、と
空恐ろしくもあり。


エンドロールを見れば、制作に当たっての
公的機関の協力は当然のように一切無く(笑)。

弁護団の各員や『仙波敏郎』等の個人名に止まるのは
思わず笑ってしまった。