「第24回亀倉雄策賞受賞記念」とされている。
「HIROSHIMA APPEALS 2021」の一連の制作物に対してとのことだが、
過去作、取り分けポスター等は一年を総覧する場で目にしたことはあるけれど、
一つの年度の作品に深く踏み入った展示を観るのは、
今回が初めてかもしれぬ。
ギャラリー内に入ると、床面に隙間無く
小指の先程の黒い物体が敷き詰められている。
タイヤのゴムを切取ったような独特の足の裏に当たる感覚、
そして違和感のある臭い。
おそらく、原爆投下後に広島に降った「黒い雨」を意識しているものと思われ。
メインモチーフである白い鳩が入ったスノードーム。
しかし、雪の粉の代わりに入っているのは
やはり先の漆黒の粒子。
鳩の背に降り積もり、
禍々しい意識が伝わって来る。
時節柄、人類が起こした蛮行を振り返ると共に、
定義の揺らぎにより、充分な補償すら受けれていない人々の存在にも
思い至る機会。
とは言え、自分の訪問時に、他の来場者の姿は皆無だったが。
会期は~8月20日(土)まで。