「線をなぞる "tracing lines"」との副題が付けられている。
何のことかと訝ったら、
一つ場所を一枚の写真で表現するのではなく
トリミングした大量の写真をコラージュすることでそれを行っている。
結果、そこに存在する景色だけでなく、
居る人々も詳細に取り込み、
一種の、風俗図録のような装い。
長巻の画をぎゅっと濃縮したとでも言えば良いか。
方向性はやや異なるが
『横山大観』の〔生々流転〕や
『葛飾北斎』の〔凱風快晴〕を
思い出してしまう。
それだけに展示されている作品の数は
さほど多くなく。
ただ一つを構成するのに写した写真の枚数も
制作の過程も、
想像するだけで気が遠くなる。
会期は~3月7日(月)まで。