RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ハウス・オブ・グッチ@チネチッタ川崎 2022年1月16日(日)

封切り三日目。

席数284の【CINE5】の入りは四割ほど。

 

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「長者三代続かず」或いは
「初代が作り2代目で傾き3代目で潰す」とも言う。

事業の継承は難しいことの例えも
本作はそれを地で行く内容。

もっとも、運命の女である『パトリツィア(レディー・ガガ)』の存在が無ければ、
「グッチ」の創業一族は、また違った路を辿ったかもしれぬが。

いやしかし、
冒頭のモノローグからも判るように、
実際に彼女が愛したのは
『マウリツィオ(アダム・ドライバー)』ではなく、
憧れの「グッチ」そのものだったのかもしれない。


当主の息子に取り入るため、弄する手管はほぼほぼハニートラップ。
かなり強引に近づいて行く。

最初は金と地位目当てと思わせるものの、
一旦、一族の中に収まってしまえば、
今度はブランドの存続に心を砕く。

実話かどうかは定かではないものの、
コピー品を駆逐する一連の件は、
当時としては何たる慧眼と驚嘆する。


一方の『マウリツィオ』は意外と凡庸。

法律家を目指しているとの履歴は
おっ!と感じさせるが、
『パトリツィア』の指示通りに動くことで全権を掌握した後は
逆に彼女の存在を疎ましく感じだし・・・・、とは
ありがちなパターン。
贅沢三昧で、結果滅亡を早める。

夫の変心で嫉妬の炎に焼かれた『パトリツィア』の行動が
やがて更なる悲劇を生む。


ことほどさように、本作での『レディー・ガガ』の存在感は強烈。
アリー/ スター誕生(2018年)〕でもそうだったように、
愛する男を心ならずも破滅させてしまう女を、
渾身の演技で表現する。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


世界的に有名なブランドの、それも事件の帰結から三十年も経っていないのに、
その醜聞を書籍化し更に映画化する。

ドキュメントの世界もショウビズの世界も
つくづく恐ろしいものだと思う。