『植田正治』と言えば、個人的には
あの砂丘の写真だが、
今回の展覧会は一風変わっている。
それはご子息の『植田亨』氏が全面協力をされていることに拠るだろう。
故人が嘗て撮影に使用した道具類(の写真)が
入り口脇にずらりと並んでいる。
それらを含めての総展示数は
約百点。
作品だけでなく、その周辺にもきちんと触れられるよう
構成されている。
室内に足を踏み入れれば、
プロになる前、幼少期に撮った写真から説き起こす。
ほぼほぼ時系列に並べられ
しかし、戦前の何枚かは何気ないスナップのハズなのに
研ぎ澄ましたような片鱗を既に備えている。
思わず、身体の中を冷たい風が吹き抜けるような趣き。
これらは、個人的には
初見のものが多いかな。
戦後の作品については、もはやお馴染みのもの。
『植田正治』の大規模展は、過去
「東京都写真美術館」「東京ステーションギャラリー」
「キャノンギャラリーS」あたりでも観ているのだが、
今回の展示はそのどれとも異なる、
味わいのあるものだった。
会期は~1月29日(土)まで。