封切り三週目。
それでも席数127の【シアター2】の入りは
八割越えの盛況。
直近では〔ゴースト・イン・ザ・シェル(2017年)〕を含め
すっかり武闘派になってしまった『スカーレット・ヨハンソン』だが
個人的には〔真珠の耳飾りの少女(2003年)〕や〔ジョジョ・ラビット(2019年)〕あたりが
フェバリット。
何れも共通の目標を持つ者との交流の美しさがモチーフとなっているのだが、
本作に於いても、核心の部分では似た構図になっているのは興味深い。
元々〔アベンジャーズ〕のシリーズでも
緩衝材的な、母性を感じさせる役どころ。
〔シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016年)〕と
〔アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018年)〕の間に起きたエピソードとされる本作でも
家族の形をテーマにアクションをほどよくまぶした良質な一本に仕上がっている。
何と言っても、当人が製作総指揮に名を連ねているくらいだから
その意向は相当に反映されていると見るべきだろう。
スパイ活動の為に、僅か三年の短い間だけ関係を結んだ四人の疑似家族が
その思い出の為だけに再び集い一つになるとのプロットは
やや綺麗ゴトにも過ぎるけど、それが一生の中でも得難い煌めく日々であったなら
肯んずることもできようか。
もっとも、本編での面白さは別のところにもあり。
それは「アベンジャーズ」という遠い世界の存在と
家族という卑近な形を上手く取り合わせた点。
2.5次元的とでも表現すれば良いか、
『ブラック・ウィドウ』が一個人の『ナターシャ・ロマノフ』として立ち上がって来るシーンにそれは現れ
とりわけ数十年ぶりに食卓を囲んだ四人の会話の笑えることといったらない。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。
今回の企画がいつ頃から有ったのかは知らないけれど、
本筋の流れにぴたりと嵌るエピソードを良くもまぁ紡ぎ出したものだと感心する。
加えてこれを観れば、ついつい前作や後作も確認したくなろうと言うもの。
その商売上手な姿勢についても、勿論のことだが。