RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ザ・ファブル 殺さない殺し屋@109シネマズ川崎 2021年6月19日(土)

封切り二日目。

席数89の【シアター9】は満員の盛況。

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続編モノものの成功が難しいのは論を待たず。
失敗例の方が数多で、直近でも
アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲〕の出来はかなり酷いものだった。

その点〔ザ・ファブル〕に関しては、
元の物語りの骨格がしっかりしていることの勝利。
特に敵役を含めた人物の設定が際立っていることで
安心して観ることができる。


珍しく原作を読んでいる。

と、言っても、続編の制作が発表された後で思い立ち
「マガポケ」で無料で読了したのだが。

なので、当然比較はできるものの、
映画化の本作に於いてはあまりそれをする意味が感じられない。

何故なら、人間ドラマを主体にしたコミックとは異なり、
映画は当然のように魅せるためのアクションに振れているのだから。


今回は「宇津帆一派」との抗争を主題に取っている。

纏わる枝葉をばっさりと切り落とし、
幹の部分はしっかり残しているので違和感はないものの、
『宇津帆(堤真一)』の人物造形と嗜好も軽めの表現にしていることや
『鈴木(安藤政信)』についても表面的な描写に終始しているため
特に彼らの最後の行動の真意に直截的に繋がらず
全体的に流れがしっくり来ない恨みがある。


が、人物描写を犠牲にしても、その分の時間をアクションに割いているわけで、
特に、予告編にも使われている、
ドアが吹き飛ばされた後の足場でのシークエンスは特筆もの。

如何にも、日本らしい場所の設定で、
これが香港なら猥雑な商店街が、
ロンドンやイタリアなら、低い石造りの家の屋根が舞台になるのだろうが。

スピード感もあり、ムーブの斬新さや意外性もありで、
本作はこれだけでも十分に評価できよう。

ちなみにこれは本編オリジナルで、
良くも作ったりと感心する。


他方、冒頭のカーアクションのシーンは
カットを割り過ぎて疾走感に欠けるし、
ラストの部分との対比を見せるためか
スローモーションの多用も含め、冗長でかなりの興ざめ。

全てて満点を獲るのは、なかなかに難しいようで、


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


エピソードとしては「真黒組」の内部抗争のそれが残っており、
ある程度の興収が期待できることもあり、
おそらく映像化に動くのだろう。

問題は主演の『岡田准一』の
肉体的衰えとの競争なわけだが。