RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

るろうに剣心 最終章 The Beginning@109シネマズ川崎  2021年6月5日(土)

 

封切り二日目。

席数100の【シアター5】はほぼほぼ満席の盛況。

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〔The Final〕の前日譚にして
緋村剣心佐藤健)』が「不殺の誓い」を立てるに至った
始まりの物語り。

しかし観客である我々は、前作で描かれた哀しい運命の帰結を
既にして知っている。

なので本作は、そこに辿り着くまでの
もう一方の主人公である『雪代巴(有村架純)』との
気持ちの移ろいを体験するためにある一本。


ストーリーは、
池田屋事件禁門の変鳥羽・伏見の戦い、と
史実に沿って描かれる。

ある意味これは主人公の雇い主である『桂小五郎高橋一生)』の動向ともシンクロ。

その中で、許婚を『抜刀斎』に惨殺された『巴』との絡みが出てくるのは
先作でふれられた通り。


で、件の評で自分は、「戦闘部分が多すぎ」と書いたわけだけど、
一転して今回は、冒頭の斬新さ溢れる剣戟場面を除き、
ウリの殺陣のシーンはほぼほぼ無きに等しい。

併せて一つの作品なので、足して二で割れば丁度の塩梅でしょ、との
制作サイドの主旨が聞こえて来るよう。

その分、人間関係のドラマを厚めに、
特に主要な登場人物二人の心の機微を丁寧に掬い出す。

もっとも、男の側も女の側も表情の変化は極端に少ないので、
観る側は声音に耳をそばだて、一挙手一投足を注視し、
神経を研ぎ澄まし、行く末を見守る必要があるのだが。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


『巴』が最後に取った行動と、今際の言葉は
『釈迦』の「捨身飼虎」の故事を思いおこさせる。

それ以前の彼女の科白とも合わせ
『剣心』が、鞘ではなく抜き身を捨てるシーンに
如実に繋がる印象的な挿話としても秀逸だ。