封切り三日目。
席数118の【シアター5】はほぼほぼ満員。
幕末の動乱期を「人斬り」として生き、
明治に入ってからは「流浪人」としての暮らしをおくってきた
『緋村剣心(佐藤健)』のレゾンデートルが三度問われる。
そして今回もまた、彼が嘗て暗躍した事実への
痛烈なしっぺ返しを媒介として。
ただその経緯が、スーパーシスコンの弟『雪代縁(新田真剣佑)』による
姉『雪代巴(有村架純)』が惨殺されたことへの復讐とは
やや脆い動機で、ドン引きな気もするけど。
直接本人に危害を加えるのではなく、
あまり関係のない周囲を含め痛めつけるのは、
精神的にいたぶる王道ではあるものの
やはり度が過ぎる設定であることは論を待たず。
もっともこのシリーズに於いては、
そうした設定は二の次であって、
見せ場はやはり主人公と敵役との剣戟。
監督・脚本の『大友啓史』も
アクション監督の『谷垣健治』も
撮影監督の『石坂拓郎』も
その辺の機微は良く弁えている。
ワイヤーアクションの多用は
さすがに既視感はあるし、
新機軸を打ち出せているかと言えば若干首を傾げるものの
できるだけカットを割らない擬闘シーンのスピード感と
迫力は本作でも健在。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
二時間二十分の長尺も、あまりに多くの要素を盛り込んだため、
語り口は性急。
個々人の心情まで丁寧に描かれているかと言えば
その点は今だし。
本来なら、〔The Final〕だけでも
前回同様に二作に割るべきだったろう。