封切り二日目。
席数118の【シアター3】は九割方の入りで
大層な賑わい。
よくある{ループもの}なら、繰り返される時間から
何らかの方法で脱出することが目標のはずも
本作のように安住するとの選択肢は極めて斬新。
一方の主人公である『ナイルズ(アンディ・サムバーグ)』は
散々ループから外れることを試したのだろうけれど、
結局は不可能と達観し、
今は繰り返される日々に身を置き、享楽的な暮らしに委ねている。
そこに新たに嵌ってしまった『サラ(クリスティン・ミリオティ)』は一味違う。
ひょんなことから巻き込まれた環境に、最初は『ナイルズ』同様の路を歩むも
あることを契機に異なる選択を。
こうなると、時間が無限に存在する環境は強い。
〔All You Need Is Kill〕なら身体的スキルを極限まで強化も、
彼女は理論を高めることに邁進する。
ループのきっかけについても極めてユニークな設定。
死んでしまうことは勿論、意識を失う、
或いは寝落ちするだけでも繰り返しが起きてしまう。
なので〔博士が愛した数式〕同様、短いタームで
同じ一日が無限に再生される。
もっとも、一日でできることは
限られているようで実は無数。
移動の自由もあるのだから
日々異なる楽しみを見いだせてしまうのは
脱出を強く望まぬ装置とし存分に機能。
新鮮な設定をした脚本の『アンディ・シアラ』の面目躍如。
しかし根底にあるのは、ラブロマンス×コメディの
実は王道。
タイムループは仕掛けの一つで、
主人公の二人が過去の自身を省み、
新たな選択をすることがこの物語の白眉。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
同じ一日を100万回繰り返せば
2,740年を生きたのと同じ計算に。
一人では飽きてくるかもだけど、
それが二人ならまた違う体験ができてしまうだろう。
所謂、共犯的な関係も、
互いに魅力を見出してしまえば、
その場から出ようと抗うのはやはりむつかしいよね、
ましてや凡人であるほど。