封切り二日目。
席数118の【シアター3】の入りは七割ほど。
随分と強気な価格設定。
シニア割りや高校生割りも適用しない
1,900円の均一料金。
なので急ぎムビチケを1,500円で購入、
本編に向かう。
入場時にはノベルティの配布はありも、
果たして作品自体に、それだけの価値はあったかどうか。
白毫のやや上辺りか。
或いは、気づきや透視に関連するとされる
第六のチャクラの付近と言えばよいか。
『手塚治虫』による〔三つ目がとおる〕の第三の目の場所もそうだが、
当該所の頭骨に穴を開けることで
一定確率で特殊な能力が備わるとのトレパネーション。
古代インカ帝国の頭部穿孔や
分娩時の産道を通るための工夫の一つ
児頭の広形機能(骨重積)も挙げられたりはするけれど、正直
笑って済ます程度の意味づけ。
それが『名越(綾野剛)』の場合、
左目だけで見ることで、相手の人物がそのトラウマを表出した
モンスターに見えてしまうとの前煽り。
どんな凄い造形なのだろうと
わくわくどきどきしてその瞬間を待てば、
眼前に現れたそれはほぼほぼ失笑モノ。
いや確かにね、実際にあんなんが見えたら慄くだろうけど、
今の立場はあくまでも傍観者。
それをも驚かせる外見にして欲しかった。
なので、あまりにチープなクリーチャーに
開いた口が塞がらず。
唖然とした状態で、その後の趨勢を見守る。
ましてや一番の問題は、
見るためには右目を塞がねばならない、との設定。
これが多くの{見えてしまうモノ}とは決定的に異なる構造で、
要は見たくなければ塞がねば良いわけで。
それとも「怖いモノ見たさ」の好奇心か。
なので主人公が率先して見たくなるために、
所謂{巻き込まれ型}の仕掛けを取り入れるのだが、
これが「ヤクザ」と「JK」に関するエピソード。
この二つがどうにも背景に厚みが無く、
特に前者の段では、観ているこちらの方が
情けなくて泣きそうになるほどの筋立て。
『名越』は何時からカウンセラーになっちゃったんですか?
その後の、主人公自身に纏わる流れも、
無理矢理にこじつけたような脚本で
どうにも納まりが悪い。
相対する女『岸井ゆきの』との関係性も、
失われた記憶の回復や愛情の喪失が共に入れ子構造になってはいるものの、
各人の行動はおろかケリのつけ方まで全く釈然とせず
ただひたすらに不可解。
評価は、☆五点満点で☆☆☆。
エンドロール後には特典映像が付くので
焦って席を立たぬが吉。
しかし、そこに書かれた原作者からの献辞は
果たして真からの言葉ですか?と
猜疑的に見えてしまう。