封切り二日目。
席数142の【SCREEN1】の入りは六割ほど。
脚本が悪いのか、それとも元々の原作に瑕疵があるのか。
直近の〔ドクター・デスの遺産〕でもそうだったけど、
日本の警察機構が全くの無能で
科学捜査など到底できておらず、
刑事は独断専行をやりまくる組織でないと、
こんな穴だらけのストーリーはとても成立しないよね、と
お口をあんぐりと開けた状態で趨勢を見守る。
一例を挙げれば「大森ベルポート(話中の設定では恵比寿の商業施設)」での最初の爆発シーン。
監視カメラで四六時中撮影されているのなら、
録画を再生すれば誰が仕掛けたか一目瞭然だろうに。
それでいて刑事が拳銃を携行する前段階の手続きでは
妙にリアルを追求していたり。
逆にそれを使う段には、容疑が固まっていない人間の頭に
いきなりつきつけるとゆ~。
いや判りますよ、オハナシだってことは。
だったら徹頭徹尾リアルな描写なんてしないが宜しい。
鑑賞前にもその短尺さには違和感を覚えており。
僅か九十分程度は
例えば豪華キャストで予算が足りなくなった?とか、
CGの多用で経費が足りなくなった?とか、
いやスピード感を出すためにわざと短くしてるのかな?などとも
良いように取ろうとしたものの、結果は前二つが正しそう。
大規模なモブシーンは大したもので、
お金を随分と費やしたろうなと評価するも、
それに見合った迫力が得られたかと言えば全然で、
却って冗長なシークエンスがただただ積み重なるばかり。
事件に至る動機も経緯も、
その発端からもそもそも捻じれまくり。
引き金となった出来事ですら、
あまりにも現実感がなく、
それによるPTSDが招いた流れは
理解しようと努力はするものの納得の範囲外。
事件を追う担当刑事『世田(西島秀俊)』も
やはり職務中に逆恨みをかった過去がある様で
会話では言及されるも具体にふれられることはなく、
却って物語りを薄くするのに機能する逆効果。
実際にこの国が、
危険な方向に進もうとしているとのメッセージも
もう少し見せようがあろうというもの。
要は届けるための表現をはき違えており、
犯人の造形には狂信的なテロリストと比肩するほど、
一片のシンパシーすら覚えることが最後までできず。
評価は、☆五点満点で☆☆☆。
一方で、イマドキの世相は巧く掬い上げられてるなと
感心する部分も。
キケンが告知されている最中に渋谷に集まる人々は、
現実にも絶対存在するよね、間違いない。