RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

サイレント・トーキョー@TOHOシネマズ川崎  2020年12月5日(土)

封切り二日目。

席数142の【SCREEN1】の入りは六割ほど。

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脚本が悪いのか、それとも元々の原作に瑕疵があるのか。

直近の〔ドクター・デスの遺産〕でもそうだったけど、
日本の警察機構が全くの無能で
科学捜査など到底できておらず、
刑事は独断専行をやりまくる組織でないと、
こんな穴だらけのストーリーはとても成立しないよね、と
お口をあんぐりと開けた状態で趨勢を見守る。

一例を挙げれば「大森ベルポート(話中の設定では恵比寿の商業施設)」での最初の爆発シーン。
監視カメラで四六時中撮影されているのなら、
録画を再生すれば誰が仕掛けたか一目瞭然だろうに。

それでいて刑事が拳銃を携行する前段階の手続きでは
妙にリアルを追求していたり。

逆にそれを使う段には、容疑が固まっていない人間の頭に
いきなりつきつけるとゆ~。

いや判りますよ、オハナシだってことは。
だったら徹頭徹尾リアルな描写なんてしないが宜しい。


鑑賞前にもその短尺さには違和感を覚えており。

僅か九十分程度は
例えば豪華キャストで予算が足りなくなった?とか、
CGの多用で経費が足りなくなった?とか、
いやスピード感を出すためにわざと短くしてるのかな?などとも
良いように取ろうとしたものの、結果は前二つが正しそう。

大規模なモブシーンは大したもので、
お金を随分と費やしたろうなと評価するも、
それに見合った迫力が得られたかと言えば全然で、
却って冗長なシークエンスがただただ積み重なるばかり。


事件に至る動機も経緯も、
その発端からもそもそも捻じれまくり。

引き金となった出来事ですら、
あまりにも現実感がなく、
それによるPTSDが招いた流れは
理解しようと努力はするものの納得の範囲外。

事件を追う担当刑事『世田(西島秀俊)』も
やはり職務中に逆恨みをかった過去がある様で
会話では言及されるも具体にふれられることはなく、
却って物語りを薄くするのに機能する逆効果。


実際にこの国が、
危険な方向に進もうとしているとのメッセージも
もう少し見せようがあろうというもの。

要は届けるための表現をはき違えており、
犯人の造形には狂信的なテロリストと比肩するほど、
一片のシンパシーすら覚えることが最後までできず。


評価は、☆五点満点で☆☆☆。


一方で、イマドキの世相は巧く掬い上げられてるなと
感心する部分も。

キケンが告知されている最中に渋谷に集まる人々は、
現実にも絶対存在するよね、間違いない。