RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

オフィシャル・シークレット@TOHOシネマズシャンテ 2020年8月29日(土)

封切り二日目。

席数224の【シャンテ-1】は一席置きの案内で実質112席。
それが満員の盛況。

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時代的には〔バイス(2019年)〕で描かれたのと同じ頃、
大量破壊兵器があるとして、米英がイラクへと侵攻した
一連の出来事がテーマ。

なので例によって実話であり、
先の作品の場所を変えたアナザーストリーとでも言おうか。

実際の映像も多用され、かなり似通った作りにもなっている。


主人公は
英国の情報機関で働いている『キャサリン・ガン(キーラ・ナイトレイ)』。

彼女の夫は迫害を逃れて来た難民であり、
自身も含め『サダム・フセイン』には忌避感を持つ。

一方で、
自国の兵士や彼の国の多くの住民が犠牲になる
今回の戦争に大義は無いと考えいる。


そんな折、部署内で共有された一通の指示メールは
国連安保理非常任理事国の代表者の通信を傍受せよというもの。

軍事制裁を決議するための動向把握に加え、
あわよくばブラックメールとして使おうとする思惑が透けて見える
極めて不当な内容。

戦争をなんとか止めたいと願う『キャサリン』は
一縷の望みを掛け、そのメールをマスコミにリークする。

しかし、彼女の思いとは別に
安保理の決議を待たず軍事介入は始まってしまう。


キーラ・ナイトレイ』は、
日本であれば『長澤まさみ』がそれにあたる
主演作が公開されれば(中身の是非を問わず)観に駆け付けたい女優さんの一人。

本作でもプロットはありがちも、
ほぼほぼ出ずっぱりの熱演が光る。


「不正義は許せん」との義憤にかられ
直情的に行動した主人公の
結果は正しいかった個人の思い。

自身と移民の夫は窮地に落ちるも
周囲は彼女の行為を賞賛する。

何故なら、組織に属する多くが同じ情報に接し
不正と感じてはいても何もできなかった後ろめたさもあるから。

主人公に崇高な思想が最初からあったのかは疑問ながら
身を犠牲にしてでもなにかせずにはおられなかった心の動きの表現が素晴らしい。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


もう一つ描かれるのは
不合理な国策に個人の人権が蹂躙される不条理さ。

そして一部の高官の思惑だけでコトが運ぶことの恐ろしさ。
世界はいまだに、その負の遺産がくすぶっている。