「東京造形大学presents」と冠されている。
同大も随分と粋なことをするもの。
万能の天才が亡くなってから500年。
彼の画業を中心にその生涯を振り返る企画。
並んでいるのは彼の現存している十六作品のレプリカ。
未完や欠損のものについては他の或いは同時代の又は参照して描かれた作品を基に
補われている。
殆どが小さめなのに驚いたりもするのだが、
しかし本展の主役はそこにはあらず、
寧ろ添えられた詳細なキャプションのほう。
その作品が誰から発注され、どこに飾られたのか?
未完の理由は何だったのか?
同時代の作と比べ何処が先進的なのか?
を考察し、『ダ・ヴィンチ』の人となりをすら炙り出す。
これが滅法面白く、絵画をそっちのけで読み入ってしまう。
自身の普段とは逆の行為だし、会場に居る多くの人とも異なる動きだけど、
たぶんこれが本展での正解。
特に〔最後の晩餐〕での仕掛けを子細に考察した個所は
知的興奮を抑えきれない。
〔ダ・ヴィンチ・コード〕で示された内容を事実と思っている人も多いらしいけど、
これはそういったものとは一線を画す、分析に裏打ちされた科学的な真実の考察。
会期は~1月26日(日)まで。