封切り十二日目。
席数72の【シアター10】の入りは八割ほど。
「オーバールックホテル」の惨劇から四十年後、
一緒に逃げ延びた母親も亡くなり
『ダニー(ユアン・マクレガー)』もはや中年、
父親と同じアルコール依存症に苦しみ無為な日々を送っている。
そんな彼が自分と同じ能力を持つ少女『アブラ(カイリー・カラン)』と
彼女をつけ狙う集団の存在を知ったことから
嘗て『ハロラン』が自分にしてくれたように『アブラ』を助ける決意をし
闘いに身を投じる。
{ホラー}嫌いではあるけれど
名画座を含め〔シャイニング〕は劇場で二度観ている。
まぁ傑作だよね、やはり。時代を先取りする幾つもの技術、
役者の演技、数々の演出、映像美と全てを総合して。
ところが『スティーヴン・キング』は
『スタンリー・キューブリック』の監督作を気に入らなかったのは有名な話で、
のちに自身でテレビドラマ版を製作しているほど。
ただね原作者の思惑とは別に映画版の素晴らしさに揺るぎはない。
その存在感は圧倒的。
そういった因縁を思い出しながら本作を観る。
そこでは戦いの舞台として、
小説ではラストで既に消失しているハズの
件のホテルが再び選ばれる。
今回の監督『マイク・フラナガン』は
映画と『キング』の二つの小説とで
それなりに折り合いを付けたながら作品化をしているよう。
要はどちらも立てる試み。
映画版のリスペクトもそこかしこに感じられはする、もっとも
同じよう構成のシーンでも『キューブリック』が撮るのと
他の人では、纏っている空気の不穏さが違って感じられるのも事実。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
小説〔シャイニング〕の四十年後を映画版の設定を活用して創った
ハイブリッドの一本として見た方が良いだろう
少なくとも映画の続編とするには当たらない。