封切り七日目。
席数542の【SCREEN5】の入りは四割ほど。
続編の出来に納得がいかず、創作者である自身が再びメガホンを取る
或いは制作・脚本に携わる。
似かよったモチベーションでも、〔エイリアン〕の前日譚で迷走する『リドリー・スコット』とは違い
『ジェームズ・キャメロン』の場合は一本かちっとした芯が通っている。
彼の作品に通底するテーマ、愛情の発露がちゃんと盛り込まれているのも
その証左で。
それにしても本作、本国での評価は散々。
「IMDb」では6.5、
「Metascore」では54の評点(11月10日現在)。
興収も1億ドル以上の赤字らしいし。
じゃあ喧伝されているほど出来が悪いかと言えば
全くそんなことはない。
自分としては相当に楽しませて貰った。
確かに〔ターミネーター〕や〔T-2〕を彷彿とさせるシーンはあるものの
(科白も同様にね。かなりご愛敬だけど)、
これは意図的にそうしているのだと見る。
安直な使い回しではないことが
中盤以降のストリーテリングに明確に現れる。
要は三作を以って、くるっとした円環ができ、
サーガとして完結させるための仕掛け。
なので『キャメロン』自身はおそらく、
今後このシーリーズに興味を示すことはないだろう。
中身は過去の二作同様、ひたすら追う者と追われる側の攻防戦。
それが最新の撮影技術や世間の要素技術の進化を目ざとく取り込むことで
今っぽい上に、迫力が更にエスカレーションする表現に。
それでもやはり一番興奮するのは、
大型車輛が普通車をがんがん蹴散らし突進する
肉体派丸出しのシーンだったりするのだが。
なので息つく暇もないとはまさしくこのこと。
心臓のどきどきが最後まで止まることはない。
そしてお約束の様に窮鼠猫を咬むラストはしかし、
情愛の恩返しを描いているのは、やはり彼らしい流れ。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
『シュワルツェネッガー』や『リンダ・ハミルトン』は当然の事として
『マッケンジー・デイヴィス』の肉体の改造度が凄い。
これが〔タリーと私の秘密の時間〕で
ほんわかしたベビシッターを演じたのと同一人物とはとても思えん。