RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

イエスタデイ@TOHOシネマズ錦糸町 2019年10月14日(月)

封切り四日目。

席数112の【SCREEN7】の入りは満員の盛況。

客層はやはり『The Beatles』ファンと思われる高齢者多し。

でも、この人達は普段、映画館に来ることはないのだろうな、たぶん。

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予告編を見た時は「なんだ〔僕はビートルズ〕のぱくりじゃん」と受け取った。

でも待てよ、あの曲者の『ダニー・ボイル』がそんな分かり易いことするか?と
思い直し足を運ぶ。


世界中の皆が皆、『ビートルズ』を知らないのに自分だけが知っていたら、との
モチーフは共通。

が、その後の料理の仕方が大きく異なり、結果、本作も満足の行く仕上がりに。


かわぐちかいじ×藤井哲也』では、『ビートルズ』の214番目の楽曲の為に
若者達は曲を発表していく。

それに比して本編の主人公『ジャック・マリック(ヒメーシュ・パテル)』は
どちらかと言えば巻き込まれ型。
明確な意思もないのに、あれよあれよという間にスターダムにのし上がってしまう。

好きではあるものの、コピーバンドをやっていたわけでもないので
コード進行は不確かで歌詞もあやふや、詳細を思い出せない曲すら。
でも誰も知らないんだからいいじゃん、などど安心をしていると・・・・。


登場するのは皆々善良な『ビートルズ』ファン。
本物を知らなくても、『ジャック』の歌を通して
好きになっていく流れが嬉しい。

会話もね、最初から彼等の曲名や歌詞を踏まえた科白になっており、
それがパタッと通じなくなることで変調を予期させる脚本の冴えもまずまず。


予期せぬことから
メジャーになってしまった才能の無い男の困惑を描きながら、
じゃあここで語りたいことは何だろうと
固唾をのんで見守っていれば
ストーリーはありきたりながらも
心が震える方向へと大きく舵を切り、
それは本当に優しい世界が現れる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


タランティーノ』が〔ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド〕で
自分が望む過去を創り出したように、
思わぬ人物を登場させることで『ダニー・ボイル』も
自身が夢見る別の世界を造り出した。

あの役者さんは誰だろうと、エンドロールを穴が開くほど見つめたけど
どうやらクレジットはされてないみたいね。