RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

惡の華@TOHOシネマズ上野 2019年10月1日(火)

封切り五日目。

席数112の【SCREEN5】の入りは二割ほど。

今、上げ潮の『玉城ティナ』に
「クソムシが」となじられたり
「捨てようか、この後の人生」とツンデレされたいおぢさん達が
大挙して押し寄せているかと思ったら
若い人と初老の比率は半々でちょっとびっくり。

でも奇しくも、冒頭に提示される二行の献辞が
そのまま体現されている客層なのは確か。

おまけに観客全員が男性だったことにも頷けるかも。

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田舎に育った人間であれば青春時代の閉塞感はたぶん
誰もが記憶にあるところ。

周囲は見知った人ばかり。
代わり映えしない日常。
刺激のない生活。

外に逃げ出すことも能わず、山の向こうには、
川を越えれば、海を渡れば違う世界が開けるかもと、
生まれ変われるかもと夢想する。

しかし、実際は外に出ても何も変わらない。
変わることのカギはは実は自身の中に在るのだから。


憧れのクラスの美少女『佐伯奈々子(秋田汐梨)』の体操着を
出来心から盗んでしまった『春日高男(伊藤健太郎)』。
その一部始終を目撃していた『仲村佐和(玉城ティナ)』に脅され、
服従することを迫られる。

ふっかけられるのは主に『奈々子』に対しての無理難題。
履行しないと暴言を吐き、時として暴力を振るう。

しかし次第に『高男』の中に『佐和』に隷属することの悦びが育って行く。
繰り返される反社会的な行為の数々。


一見、ドSとドMの背徳的な関係性にも見えつつも
二人は互いに依存する。

肉体的な繋がりは無いながら、精神性に於いて強く結びつき
相手に対して自己と似た部分を見つけ、欠けている個所は補い合おうとする。

そうした繋がりの果てには何が待つのか。
一般的には、取り返しのつかない破綻。

ここでの若い男女はどんな道を選択するのか。


行為の賛否のほどは兎も角、主人公達の感情には
素直に共感ができてしまう。

その不法な行為ですら、もっとやれ、と
喝采を送る自分がいる。

昔にできなかったことをやろうとしている若者に
心の底で憧れを持っているのかもしれない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


それにしても本作での『玉城ティナ』の露出のケチり具合はどうしたことだろう。
前作の〔Diner ダイナー〕ではたいしたサービスっぷりだったのに。

言葉での責めは十分ながら、これでは消化不良も甚だしい。

ひょっとして監督の努力不足か?