RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

見えない目撃者@チネチッタ川崎 2019年9月23日(月)

封切り四日目。

席数244の【CINE6】は満員の盛況。

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目が見えず聴力だけで事件を解決するアームチェアディテクティブの先例は幾つかあるものの
(小説では『デイヴィッド・ローン』による
〔音の手がかり(1993年)〕〔音に向かって撃て(1994年)〕あたり)、
本作が異色なのは主人公が家の中に籠らず
自ら外に打って出る点。

当然、単身での行動には制約や困難さもあるので、
ここではしっかりと『ワトソン』役が用意される。

この設定が面白い。
一人と一匹な訳だが、特に前者は
今らしい技術を使いながらヒロインをサポートする。
アイディアものだ。

また「見えない人」が世の中をどのように「見て」いるのかを
観客に分かり易く表現する手法も上々。


原本は韓国映画の〔ブラインド(2011年)〕と聞いている。
それが為だろうか、描写としてはどきつい点も多い。

上手く日本仕様に翻案しながら進めているわけだが、
このプロットを本邦では誰も思い付けなかったことは残念の極み。

予想せぬ展開と、主人公達を次々と襲う危機で
息つく暇もない優れたサスペンススリラー。


もっとも、突然盲目になった人が
僅か三年でここで描かれている技量を会得できるのか、との
疑念を始めとして腑に落ちない点もちらほら。

小道具のヒントが判り易過ぎたり、
後半になればなるほど先の展開が読めてしまう恨みもある。

特に最後のシークエンスについては
『ヘプバーン』ファンであれば、やると思ったけどやっぱりね、と
にんまりすること請け合いで。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


パラレルワールド・ラブストーリー〕でも主人公の複雑な心理状態を上手く演じた『吉岡里帆』が
自己の咎で暗い過去を背負ってしまった『浜中なつめ』をやはり好演。

ややオバーアクト的な表現はあるものの
これからが楽しみな女優さんに育ちつつある。