RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

荒野の誓い@チネチッタ川崎 2019年9月16日(月)

封切り二週目。

席数107の【CINE1】の入りは二割ほど。

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原題の〔HOSTILES〕の意味は
敵対的(な)。


なるほど本作には多くの、主人公達の一行に敵対する勢力が現れる、もっとも
主役の『ジョー・ブロッカー(クリスチャン・ベール)』とて騎兵隊の大尉、
嘗ても今も先住民族と大規模な戦闘を行って来た歴戦の猛者。


そんな彼が、二十有余年の軍務を経て退役をしようとしている直前に
新たに下された最後の任務は
癌で余命幾ばくもないシャイアン族の酋長『イエロー・ホーク』とその家族
を故郷に送り届けること。

余人であればいざ知らず、彼にとっての『イエロー・ホーク』は
嘗て激しく争った仇敵。

自らはその身内を多く殺戮し、自身の仲間も数多殺められた過去があり
なんとも承服しかねる命令。

しかし元はと言えば、先住民の土地に入り込んだ植民達の
略奪と虐殺の歴史が先にあったわけで。

「私の知っているよいインディアンは、死んだインディアンだけだ」などと
言い放つのは、いったいどの口か?


一もめ二もめあったのち、目指す居留地に向けて出立はしたものの、
冒頭で描かれた開拓民一家を襲い、
その妻である『ロザリー(ロザムンド・パイク)』以外を皆殺しにした
コマンチ族を始めとして
次々と苦難が襲い掛かる。

もっともそれは、インディアンよりも
同族の白人達の方がよほど非道な行いをして来るのだが。


旅程が進むに連れ、新たに旅に加わるもの、そして
戦闘の為に亡くなるもの。

必然的に『ジョー』は、憎んでいたシャイアン族達の力を借りざるを得なくなり、
やがて彼の胸に去来する幾つかの想い。

積年の染み付いた信条が変わる契機は、
外圧だけなのだろうか、それとも周囲の人の心根か。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


クリスチャン・ベール』が礼儀正しく情に厚い
めちゃくちゃイイ男を演じて秀逸。

オマケに余韻の残るラストシーンの素晴らしさといったら・・・・。

その後に起きることを想像しただけで、
思わず胸が熱くなる。