RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

いなくなれ、群青@TOHOシネマズ錦糸町 2019年9月7日(土)

封切り二日目。

席数114の【SCREEN6】は五割ほど。

公開間もないのにこの状況は少々寂しいかも。

 

f:id:jyn1:20190908090914j:plain


「階段島」は「捨てられた」人たちの島で、
住人達はなぜ自分がこの島に居るのかの記憶が無い。
島を出る手段は唯一、自身の「忘れもの」を思い出すことだが
多くは安穏とした日々の生活に満足し
それについて真剣に考えることはない。

との、冒頭のモノローグや告知文から
ディストピアものかと思っていたら
どうやら違うらしいと気づき始めるのが20分ほどを過ぎた頃から。


それにも増して
主人公の通う「柏原第二高校」は中等部も併設され
で、あれば一学年が最低単位の一クラスだけ35人としても
全校では200人はいるだろう更に「第一」もあるのなら
学校関係者だけでも500人は下らない、なのに
全島民は2,000人ほどと説明され、
おいおい一体どれくらい中高生比率の高い島なんだ、にもかかわらず
「音楽祭」の体育館には老若男女がこぞっているぞ
なんかおかしくね?
などと考えてしまう。

外界から一方的に物資や情報が届けられ、
島から出ることは一切できす、
トゥルーマン・ショー〕や〔メイズ・ランナー〕を想起しながら
社会インフラはどうなってるんだ、随分と設定が甘いな、と
不審さがつのる、何故なら、暮らしている人々が皆々
余りにも平穏すぎるから。


なので物語世界への没入がなかなかできずに困惑する中、
画面では些細な出来事に対して登場人物達が
禅問答のような会話を繰り返す。

主人公を含めて、感情移入さえ難しい造りになっている。

周囲環境の描写は曖昧なのに、各人のキャラは相当に立っている。


一人二人と、たぶん「忘れもの」を思い出したのだろう
島から居なくなる人が出て、もっともそれに繋がるエピソードは
「忘れもの」とはとても言えない様な中身。

終盤部での種明かしもなにやら漠然とし、
ああプロローグの場面こそヒントはあったのだな、と
感情的には理解したいと思いながら
理性ではとっても納得できず、さぁ困った
この憤懣をどうしてくれようと考えていると
エンドロールで流れる主題歌は
Salyu』の新曲〔僕らの出会った場所〕。

これで少しは胸がすいたなとは感じつつ
映画の本筋とは全然関係ないところで満足してるって
なんだか変だよね。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


本作の実態は、呆れるほど
どストレートな恋愛映画。

それに人間の完全性の命題が付加される。

かなり持って回った仕掛けで装飾することで
ミステリーじみた仕立てにしてはいるものの、やはり
そのものの細工にどうにも違和感が付きまとい過ぎる。

加えて役者さんたちの演技が何れも及第点以下。
わけても準主役の『飯豊まりえ』が
いまいち開花しきれないなぁ、そうこうしているうちにもう
女子高生役はできなくなっちゃいますけど。