RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

佐藤卓TSDO展〈 in LIFE 〉@ギンザ・グラフィック・ギャラリー 2022年6月4日(土)

標題館で時々ある、意図していなくても
子供が見たら大喜びしそうな展覧会。

 

特に【一階】の展示は
巨大なガム
巨大な牛乳パック
巨大な芥子のチューブの搾り出し口
などがゴロゴロと置かれている。

大人が見てもこれは楽しい。

おそらく以前に
「21_21 DESIGN SIGHT」でも展示された内容と
同一と思われ。


【地階】では同人及び同会社が手掛けたプロダクトが
カテゴリー毎に。

お酒や食品、香辛料のパッケージが
所狭しと並ぶ。

あまりに身近で頻繁に目にする数々。

こんなに周囲に溢れていたんだねぇ。


会期は~6月30日(木)まで。


東京長浜観音堂 2022年6月4日(土)

一時期閉館していた当該施設が再開したとの情報。


初回の会期は​5月12日(木)~6月12日(日)。

拝観できるのは〔聖観音立像/長浜市湖北町山本 常楽寺蔵〕。


場所は【東京駅八重洲北口】から【さくら通り】に入り、
八重洲仲通り】に左折、30mほど歩いた右手のビル。


八重洲セントラルビル】


【4階】に降りると
関連施設も含めた案内。


拝観は、この右手から。


中は薄暗い極小のスペース。

入り口脇では検温と手指消毒が必須。

観光案内のVTRやリーフレットもあり。

来場者はほぼほぼ老齢者、しかも
夫婦連れ多し。

マスクをしているとは言え、
本来は静謐を旨とする空間で
会話をとめどなく続けているのは正直勘弁。


で、肝心の観音様は1mほどの高さの木製。
硝子ケースに入り、360°から拝見できるのは嬉しい。

すっとした自然な立ち姿、
柔和なお顔立ち。

正しく世界を救って頂けるとしたら、
このような見目なのだろう。


次回の展示も楽しみだ。

 

 

 

 

 

ニューオーダー@チネチッタ川崎 2022年6月5日(日)

封切り三日目。

席数129の【CINE2】の入りは八割ほど。

 

 

メキシコ国旗の三色の意味は夫々、
緑=民族の運命における国民の希望
白=カトリックや宗教的な純粋さ
赤=国に殉じた愛国者の血
を表していると言う。

ところが本作での、特に緑は凶兆以外の何物でも無し。


壮麗な自宅を会場とした結婚パーティの最中、
主の妻が水道の蛇口を開くと
そこからは緑の水が流れ出す。

誰かの悪戯かとも思うものの、
ほどなく水は通常の透明さを取り戻したため、
訝りつつやり過ごしてしまう。

或いは、邸外に駐車している車に掛けられた
緑色のペンキは、誰によるものか。

が、
街を騒乱に陥れていた暴徒が、突如として塀を超えて乱入、
殺人や強奪、放火との狼藉をはたらき出す。

焼殺奪、所謂「三光」は
もっとも非道な行為とされているが、
市中のみならず、安全であるはずの邸内でも
阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられる。


持たざる者が、持てる者から全てを奪い尽くす下剋上
それは今まで虐げられ、簒奪されて来た人々の恨みの発露。

勿論、それを肯定し、溜飲を下げるエピソードとは
とてもならないけれど。


一方、主の娘『マリアン(ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド)』は
式の主役の花嫁であるにも関わらず、
嘗ての使用人を助けるため、
共を連れ車で市中に向かう。

天晴れな、常であれば賞賛に値する行為。

にもかかわらず、ある種無謀なその行動が、
彼女を窮地に陥れる。


嘗て観た幾つもの映画作品の中で、
もっとも理不尽で救いのない一本。

善を行うものほど、やるせない仕打ちが待っており、
とてもではないが常人の脳裏から創り出されたモノとは思えぬほど、
救いの無さに満ちている。


とは言え、コトの大小はあれ、人の世はこうした不条理で溢れているかも。

「正直者は馬鹿を見る」との箴言も、過去から人々の口に上るのは世情。

直近のこの国でも、官の側の人間が率先し、
大規模な不正に関与した事実が明らかになったばかり。

ましてやこれは氷山の一角で、
甘い汁を吸う人間は多く存在すると考えることの方が妥当。

そうした諸々を激しくデフォルメし、
監督・脚本の『ミシェル・フランコ』は我々の前に突きつける。

「さあさあ、御覧じろ。これが貴方達が住んでいる世界の本質ですよ」と。
「貧富や立場の差は関係なく、人間は容易に獣に変わりますよ」と。
「神は善き行いを推奨していますが、悪行への因果応報は本当ですか」と。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


ヒロインが着ている、赤色のドレスも象徴的で、
先のメキシコ国旗の色の意味に重ね合わせて見るべき。

全てが真逆の意図で使われており、
あまりの諧謔に背筋を寒くする。

 

オフィサー・アンド・スパイ@TOHOシネマズシャンテ 2022年6月4日(土)

封切り二日目。

席数224の【シャンテ-1】の入りは八割ほどと盛況。

 

 

エミール・ゾラ』の評伝を読めば必ず触れられる
ドレフュス事件」。

十九世紀末のフランスでの免罪事件に対し、
彼が新聞紙上に「J'accuse」と発表した公開状。

いみじくも劇中では「私は弾劾する」とも訳されているし、
「私は告発する」でも良いのだが、それが本作の原題。

それを〔オフィサー・アンド・スパイ〕などと翻案した、
日本の配給サイドは相変わらずセンスが無いと思ったけれど、
元ネタの小説のタイトルが〔An Officer and a Spy〕らしく、
そこから頂いたのね。

確かに『ヒッチコック』による〔私は告白する/I Confess(1953年)〕や
直近では〔私は確信する/Une intime conviction(2019年)〕もあったりで
それなりに苦肉の策とは失礼か、理由のあったことと思われ。


とは言え、今回の主人公は『ゾラ』ではなく
陸軍中佐の『ピカールジャン・デュジャルダン)』。

諜報機関長への就任を契機に、スパイ事件の調査を始めたところ、
件の事案に行き当たり,
どうやら『ドレフュス(ルイ・ガレル)』は犯人ではないのでは?と
疑念を持ち始める。
 
大尉は嘗ての教え子だったこともあり、その人となり、或いは
懐具合や、国への忠誠度についても該博な知識を持っていた背景もあり。

所謂、正義の人である『ピカール』は疑いを晴らすために動き出すのだが、
そのことが却って、自身に災厄をもたらしてしまう、との筋立て。


監督の『ロマン・ポランスキー』は、当年取って八十八歳。
が、その年齢をとても感じさせない、重厚な造り。

スリルありサスペンスあり、裁判や決闘シーンありと、
起伏のある描写とシチュエーションもテンコ盛り。

もっとも、その決闘については、「決闘裁判」なのだろうか
ことの次第が判らず、戸惑ってしまったのは正直なところ。

また、登場人物は皆々口髭を生やした類似の相貌のため、
人物の識別と関係性理解に苦労する、との
日本人らしい悩みもあったり。


本作での気づくべき点は三つほど。

ユダヤ人への偏見
官僚制の腐敗
愛国心を隠れ蓑にした欺瞞

ユダヤ人商店のウインドウに「ダビデの星」を書きなぐり
破壊するとは、その後の「水晶の夜」にも繋がるような所業。
監督もユダヤ人であることから、どうしてもこの種の描写は
熱めになるのかな。

権力が必ず腐敗するのは世の常。
保身に走り、その為には、善良な第三者の犠牲など
屁とも思わなくなる。

そして、愛国が居丈高に唱えられる際には、
その裏に自己の都合の良さが隠れていることを
常に疑ってかかることの必要性。

しかし、この何れもが、今でも
世界中で或いは身近で起きていることではないか。

百十余年の時を経ても、社会は、或いは人間は
何も変わっていない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


原作者の『ロバート・ハリス』は、〔The Ghost〕との小説も書いており、
ポランスキー』はこれも〔ゴーストライター(2010年)〕として映画化している。

俳優や脚本家とは勿論のこと、
小説家との相性についても
改めて思った次第。

KAZZ森下 個展@上野の森美術館 2022年5月28日(土)

同時期に開催され、且つ入場無料の展覧会の一つ。


会期は5月24日(火)~30日(月)と極短で、
オマケに既に終了してしまっているのだが。

 

標題展は「Reincarnation-2022-転生」とのサブタイトルが付されている。
会場は【ギャラリー】。

技法は{写真}ながら、撮ったそのままをプリントするのではなく、
素材としてコラージュし作品としている。

やたらと月が大きく写っていたり、
咲く花の並木が鮮やかなピンク色だったりと、
幻想的ではある。

しかし不思議なことに、記憶にある情景と
ぴたりと一致する。

思うに、人間の脳の中で行われる
省略やデフォルメが
作者の表現と合致するのだろう。

爛漫展@上野の森美術館 2022年5月28日(土)

同時期に開催され、且つ入場無料の展覧会の一つ。


会期は5月26日(木)~30日(月)と極短で、
オマケに既に終了してしまっているのだが。

 

標題展は「上野に芸術の華が咲く」とのサブタイトルが付されている。
会場は【本館2F】。

日本人の現代アーティスト十三名の作品が展示され、
その分一人当たりの点数は少なく、
全体的に小さめが多い。


そしてこちらも作者が会場におり、
解説等をしてくれる。

名刺を渡したりもあり、
何かと忙しい。

海を越えたアーティスト展@上野の森美術館 2022年5月28日(土)

同時期に開催され、且つ入場無料の展覧会の一つ。


会期は5月26日(木)~30日(月)と極短で、
オマケに既に終了してしまっているのだが。

 

 

標題展は「ジャパンアートの現在地」とのサブタイトルが付されている。
会場は【本館1F】。


展示されているのは{写真}{書}{ペン画}で
五人の作品が並ぶ。

会場内にはアーティストご本人が三々五々立ち、
自身の作品を熱心に観入る人には近づいて解説なども。

確かに入場時に渡されたアンケートには
印象に残った作品・作者の記入欄もあったが、
それが後々、何かの役に立つのかしら?